被災者の想いに寄り添った支援をつづけながら、今度は助けて頂いたみなさんに恩返しをする番です。
東日本大震災の遺体・遺品の捜索
2011年3月11日午後2時46分。私たちは東日本大震災で被災しました。この大きな出来事が、日本全国と世界で発生する自然災害、被災した全ての人達の「何かお役に立てないか?」というのがNPO法人海族DMC立ち上げの“きっかけ“となりました。
震災から年月が経過している現在でも、警察署では月命日である11日には行方不明者の探索をしています。未だ家族の遺体が見つからない遺族の方々は、少しでも何か発見されるのではないかといつも希望を抱いているからです。「何も発見できるわけがない」と思う人もあるかもしれませんが、実際に今でも海に眠っていた遺体の一部や遺品が発見されています。
そこで、NPO法人海族DMCは、2019年4月より、2,534名の行方不明者とその遺品を捜索すべく海洋に出ることを決定しました。陸から9マイル、深海100メートルまでを捜索領域に「船」と「水中ドローン」を使って捜索にあたります。宮城県沿岸部の亘理町を拠点に、将来的には各地域で協力者を集い、南は福島、北は岩手を網羅します。探してほしい、見つけてほしいと願う家族が希望を持っている限り、この活動「行動」には意義があると確信しております。
IT×水中ドローン×舟艇を活用
2019年、ついに原発の事故よって捜索が進まなかった福島県沿岸部で震災後初めてダイバーによる捜索活動がスタートしました。しかし、8年も経過している上、かなりの広範囲、そして人員不足の問題もあり、計画通りに進まないまま縮小されているのが現状です。そこで、水中ドローンでの捜索は、人の手が届かない部分にも入っていけて、人員確保の負担が少ないことからも期待が高まっています。
私たちNPO法人海族DMCは、東日本大震災の被災地支援のみならず、今後の海洋事故にも即座に対応できるよう備えをし、水中ドローンや舟艇を使用して、救助・捜索に取り組んで参ります。
・毎年1,000件近く発生する海洋事故の行方不明者の捜索活動
・日本で想定される南海トラフ地震など大規模災害時の救助・捜索活動
・世界で起こりうる海洋事故や災害時の救助・捜索活動
震災当時、医療機関・救助機関・自衛隊・各専門家・救援物資の提供・ボランティア活動など支援部隊が被災地に派遣され、あらゆる面でのサポートと立て直しを図っていただきました。たくさんの方が直接被災地に出向き、今の私たちへと繋いでくれたように、NPO法人海族DMCは、教育機関・海洋関係機関・自治体・企業と連携し、「チーム」として被災地の支援に努めて参ります。
震災を風化させないために
時間が経過し、山のように積まれた瓦礫はなくなり、新しい家が建ち、景色は大きく変わりつつあります。沿岸部の住民たちは、自分たちの目線ほどの高さまで建てられた防波堤により直接海を眺めることができなくなりました。
しかし、被災した方々の中には3月11日14時46分で時間が止まっている方も少なくありません。そうした人々への支援を続け、この経験を風化させないように当時の記憶を振り返り、語り継ぐことも私たちの役目だと感じております。
また、こんな災害があったとしても、私たちは海とともに生きていかなくてはなりません。ただ海は怖いというイメージをついてしまった子ども達も多いことでしょう。そんな子ども達に、海とふれあい・共存していく術を伝えていきたいと思っております。